1 萩・文章 |
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《萩焼きの歴史・特徴 》 |
萩焼きは、一名高麗焼とも称し、慶長年間に毛利利輝元が、朝鮮の陶工"李勺光、李敬"兄弟を連れ来り、藩の御用窯として 開窯しました。 桃山時代、千利休によって確立された「侘び茶」の隆盛とともに脚光をあびた高麗茶碗にみせられている武将は輝元だけではなかった。文禄、慶長の役は「茶碗戦争」などとも言われた様に李朝の陶芸美術に対する異常な執着と欲望が隠されていた。 萩城下の郊外、松本村中ノ倉に屋敷をもらい、禄を給せられて鼓ケ嶽(つづみがたけ)の山林むを薪山としてあてがわれ、「御用焼 物所」を開窯した。 これが萩焼きの源流である。 以来400年もの間伝統を守りつつも、歴代陶匠のたゆまぬ精進により茶陶、鑑賞陶のみならず雑器にも素朴な風趣、肌触り、 色艶など現在に受け継がれて来たした。 古来茶人の間で『一楽、二萩、三唐津』と称されたのも、萩焼きが茶道の真髄である。"侘び・さび"の心根を最も具象化した作品のひとつであり、この点でも他の陶磁器の追随を許さず海内最高の評価を博する所以であります。 |
《萩焼きの技法 》 |
萩焼の発祥以来茶陶むとして、しかも高麗茶碗の系譜を引く近世国焼茶碗の筆頭として評価を得て来た大きな要素として、まずその技術が李朝の陶技を中心に作られている事から原土の重要さが考えられます。 原土 萩の原土の主流は何といっても『大道土』で藩政時代には、御用窯以外は大道土の使用は禁じられており、御用窯でも茶碗しか この土の使用を認められなかった程貴重な原土でありました。 萩焼の土は昔から、大道土を基本に何種類かの地元の土を混ぜて作られてきました。 主に3種類あります。 ☆大道土 ☆金峰土 ☆見島土 土や砂のブレンドは様々ですが、萩焼は、この精製土を基本にいろいろと使い分けて作ります。ピンクがかった土に、土灰釉、 藁(ワラ灰)釉を掛け焼きあげています。 萩焼の土は、耐火度が1700℃以上と言われ、1200℃前後の本焼温度では殆ど焼き締まりません。そのことが土の風合いを多く 残すことになり、柔らかい土味と吸湿性を保ち、使うにつれて「萩の七化け」と称される茶渋による色変化を伴います。 萩焼きの特徴の一つにも挙げられる「貫入(かんにゅう)」があります。 貫入というのは、萩焼きを始め陶器には比較的よく見受けられる釉表面のヒビのことです。このヒビは窯出し時、窯出し後の冷却の際、素地と釉地と釉薬の膨張率と縮差の違いによっておこります。 日本では、こうしたヒビは欠点とは見なされず、一種の模様や景色として、その焼物を特徴付ける個性と捉えられています。 古来より必ずしも萩焼の全てが、貫入ものとは限りませんが貫入のあるなしで、発色や風合いにも大きく影響してきます。 萩焼きの柔らかさというのは、雰囲気だけでなく、実際の手触り、口当たりにも感じられますし、熱伝導率が低い為、保温性が高く 熱いお茶などを入れても器自体まで熱くなりすぎないといったことも好ましい特徴として挙げられます。 土肌を決める要素 ☆土の調合、珪砂(けいさ)の量 ☆荒砂をたっぷり入れれば、力強い鬼萩になります。 ☆細砂を入れれば縮緬皺(ちりめんじわ)になります。 ☆細砂を入れなければ品の良い姫萩となります。 ☆紅萩なら鉄分の多い土を塗る。 ☆井戸茶碗なら珪砂を若干多めに入れる。 工程を蓄積されると強力な技術になり、シャープな造形感覚と技術で、土を1〜10まで完全にコントロールしている。 その土への徹底した姿勢は、つくる焼き物に品格を与えているといっていいだろう。 |
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《豆知識》 |
大道土・・・・カオリン質の土の一種、石英質の石楽を多く含む。単独では、粘りが強すぎて土質調整用として、萩市近郊の金峰土を加える、 これが元土となります。 ヒメ土・・・・雲母質のセリサイトも多く含まれ、軽くややサックリした土質に仕上がり、見た目や感触、風合い、焼き上がりの土味の優しさなど から、この元土のことを姫土(ひめつち)あるいは、細土(こまつち)と呼んでいます。 ミシマ土・・・・単独での成形は可能ですが、非常に軽い土質で本焼に耐える強度は殆どありませんので精製したものを姫土や荒土とブレンド して使います。原土名も見島土ですが、ブレンドしてもミシマ土と呼んでいます。 |
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