1 備前焼・文章 2 備前・湯呑、コーヒーカップ 3 備前・酒器、ビアマグ 4 備前・茶器、香炉
5 備前・花入れ、水盤 6 備前・皿、醤油注 7 備前風景・窯出し 8備前・取り扱い説明

     備前焼 説明文章  
備前焼の歴史と特
         一千年の歴史 人と土の炎の出合い備前焼

 今回のカタログは、山本陶秀一門の窯元で作られた作品を集めています。
昭和49年に人間国宝の故山本陶秀の発案で長男山本雄一(岡山県重要無形文化財保持者)夫妻が開いた窯元です。人間国宝、故山本陶秀先生の形を基本に、今では岡山県重要無形文化財保持者の山本雄一先生の指導のもと技と感性を受け継ぎ製作しています。

備前焼の特徴は、釉薬を使わない焼き締め陶の備前焼は「一土、二焼け、三形」といわれ、土が命です。

備前焼は、日本国の六古窯と言われている、なかでも最も古い窯です。須恵器の技法を受け継ぐ日本で最も古い形態を残しているのが備前焼です。無釉焼き締めの伝統を守り続けて、一千年の間、窯の煙は絶えたことはありません。備前では「古き良き伝統」を守り昔ながらの登り窯、松割木の燃料を用いて雅味深い焼き物を作っています。
上薬をかけないで良質の陶土をじっくり焼き締めるこのごく自然な土と炎の出合い、その融合によって生み出される素朴な手作りの温もりの感じられる焼き物が備前焼です。
備前焼の焼き成りの肌の色に見たものは、まぎれもない「侘び(わび)、寂(さび)」の世界です。
備前焼の焼き成りは、桃山期の侘び(わび)茶陶の世界で、ひとつの頂点を極めています。1532年頃の茶会記での実に多くの備前茶陶が登場します。桃山前期の茶の指導者 千利休は当時の最高権力者 織田信長や豊臣秀吉に仕え全国の茶人、陶窯に影響を及ぼし備前焼の花入壺など数十回と使用して備前焼の真価を認めていたことを証明しています。
秀吉も大茶会など上席に控えられており、秀吉がいかに備前焼を愛したかがわかります。
備前焼がこの時代の代表的な権力者や茶人に好まれたのは、その豪快で力強い作風、焼け肌がその時代の気風にマッチしていたのと、備前焼にもその要求に十分応える能力が備わっていたからです。
また 桃山前後の著名な茶会記には、備前焼が登場する。回数は、692回で、日本の他の焼き物を圧倒しています。備前焼は日本陶芸の中で最も日本的なものの 一つとしてみとめられています。

備前焼とは

備前特有の鉄分の多い土を主原料として釉薬を用いない焼き締めによる焼成方法が特色で、土そのものの味わいと登り窯特有の窯変による効果を生かした独特の芸術性を備えた重要な陶芸であります。最盛期の桃山時代には、豪放で雅趣に富んだ名品を数多く生み出し、代表的な茶陶地として知られています。

飾らない素朴さ武骨さが、大地の恵みを敬い自然を愛する日本人の心をとらえます。備前焼の持つ自然らしさ「侘び」「寂」の「桃山の美意識」を感じさせてくれます。

「備前焼は鑑賞陶器にとどまらず日常生活にもっと使って良さを知る」とは北大路魯山人のことばです。これまでの備前にはなかった台鉢や、まな板を作り山海の料理を盛った。備前焼は魯山人によって食器としての良さを知らされたのである。


正宗敦夫の直言(正宗白鳥の弟で万葉学者)

備前焼の加飾の方法として緋襷(ひだすき)があり、それは備前の窯でしか焼けなかった独特の焼成方法であった。その技術の第一人者は山本陶秀である。陶秀は緋襷(ひだすき)に渋みと明るさの統一を求めて盛んに製作した第一人者であります。
「ろくろの名人・陶秀」「技の陶秀」と技能なしに造型は存在しないのである。焼物の造型の根
幹にろくろの技があり、熟達の極にこそ本来の芸道が成立すべきものと言っている。

一千年と受け継がれてきた備前焼は、備前の気候、風土の中、千数百度の炎くぐって、人々の生活の中で、「用と美」の両面から独自の文化を支えてきました。人々の心の安らぎとなり糧となり、歴史と伝統の中に静かに確かな存在として生き続けています。

無釉、焼締めによる土味の魅力
自然窯変の巧まざる巧みの美
須恵の流れを汲む・・・陶、備前。
生活を鮮やかに彩ってくれる。
新しくて、しかも懐かしい焼物。

人と土と炎の出会い・・・備前焼

「ろくろの名人」と呼ばれた陶秀の作品は木目細かい、ソツのない作りで姿もスマートで、いわゆる上手ものの感じのする作品である。
合理的に使えるものを親切に気を配った作品が多い。
大きな窯でゆっくり焼くと柔らかい味をもった作品になります。

「備前焼六姓」
「窯元六姓」とは、代々世襲してお互いに営業権を持ち、窯そのものを支配して、一般の陶工には、一切自由にさせなかった。
江戸時代になると、備前藩主池田侯は、備前焼を藩の特産品として保護し、窯元六姓には「御細工人」という肩書きを与え、士分に取り立て特別の扱いをした。
窯元六姓「木村・森・金重・大饗・頓宮・寺見」の六家である。現在も尚これ等の子孫が窯元や作家として活躍し、備前焼界の中枢をなしている。
しかしながら、現在の備前焼界では、窯元と作家をはっきり区分しています。
窯元は、昔のような支配力は無いが企業として多くの陶工を雇い、全ての工程を分業化している為、多量に生産することが出来、窯印も全部その窯元のものに統一されています。
作家は自分で窯や陶房を持ち、土作りから作陶や窯焚、窯出し、販売等一切を自分で行って、またその作品には、必ず自分だけの陶印を刻んでいます。
作家となるには、窯元か作家の弟子となり陶技、焼成その他の素養を十分習得し、一人前となっ
て独立するのが普通です。最近は作家の子息が殆ど陶芸家を志し、親子兄弟の共同窯も多い。
      備前擂鉢=投げても毀れぬ
            備前水瓶=水がくさらぬ
      備前徳利=お酒がうまい
            備前茶碗=中風に罹らぬ
      と、昔から言われ何れも備前焼称賛の現われで、備前焼は実用品で
      ありました芸術作品でもあります。
備前焼の焼成工程
登窯の 窯焚き

@ 火入れから4〜5日間「あぶり」といい800度前後で焚き続けます。
A 4〜5日後から「中焚き」をします。1100度位に上げます。
B その後更に3〜4日割り木を調節しながら1200度を上限として1150度を維持します。
C 最終段階で何度かの「大焚き」をして作品に窯変を求めます。
D 約13日間焚いた後、炭を振り落とします。1200度の窯の中は炭が一時に燃え上がりまわりの酸素を吸収し窯の中は一種の酸欠状態になり、還元作用が起こります。備前特有の桟切の模様はこの時の還元作用によって出てきます。
E 炭入れが終わると登窯の一番を15〜16時間、二番を約12時間、ケドを18時間と登窯の上へ上へと焚きあげ炭入れします。その後各部屋とも密閉します。窯焚きにかかった赤松の割り木の総数は約20000本にもなります。
F 半月焚かれた窯は約一週間かけて常温近くまで冷やされます。
G いよいよ窯開きです。最も感動の一瞬です。登り窯では、置く場所によって作品の模様が違います。
炎の動き、流れと松割り木の灰が織り成す自然の造型の妙によって作られる「窯変」「桟切」
「ごま」などの景色を取ろうと必死になります。また、わらが科学変化して発色する「火だすき」と呼ぶ明るい備前も取れます。

人間国宝 故山本陶秀の作風を受け継ぎ、その?(りん)とした風格、品の良さ、優しさを持った景色を見ていただく商品だと思います。

備前焼で盛って食べて下さい。
       注いで飲んで下さい。
       そして飾ってみて下さい。
       あなたの心に安らぎと豊かさ、心のゆとりが感じられます。
       一千年の侘び、寂がきっと感じられることでしょう。

備前焼 焼け説明

1 窯変 自然が豪快にかかったもの、良い窯変は緋もある。
     焼けである、燃料の割り木も上からどんどん落ちてくるので豪快な焼け肌の窯変が取れます。
2 桟切 自然釉とそうでないものに大別される。窯の内部のしきりの場所に置くことから「桟切り」と呼ばれる窯焚きを止める前に炭を投げ入れると鮮明な桟切がとれます。

3 緋襷   備前焼の専売特許ともいえる焼き方です。
  (ひだすき)  最初は作品と作品のくっつきを防ぐために巻いたわらが科学変化して発色した
       ことから生まれました。
4 牡丹餅  牡丹餅も備前焼の美を強調する加飾法である。最初は皿や鉢の上に作品を置いて焼いた跡が火が通らないために、そこだけが牡丹餅を置いたように、美しく上がったのである。炎や灰が当たらないので、そこだけが赤や茶色、青になり模様をつくる。
5 その他、ごま、槙肌、伏せ焼き、金色、青備前などがある。
備前焼 効果
備前すり鉢、投げても割れぬ
備前徳利、酒がうまくて味が変わらぬ
備前の水瓶、水が腐らん

ビール呑み
 ビールを備前焼のコツプに注ぐと、泡がきめ細やかで、まろやかになり、気が抜けず、冷たさも長持ちします。いつものビールが一層美味しくなります。
 ビールが3倍うまくなる。・・・「なぜビールが3倍美味しくなるのでしょうか」
 一言で説明しますと、陶土の選別と焼成技術により、伝承のような機能が陶質に新しく誕生していることが確認できたことです。
 現在その焼成技法を変化させることにより、微妙に、水、酒、ビール、醤油等の味を美味しくすることが、判明しています。その他、動、植物、生活などの活性効果などの研究を進めることにより、昔の伝承と歴史的史実を探索しています。
 
 備前焼のコップの特徴と楽しい実験方法
@ まず、備前焼とガラスコップに、各々缶ビールを注ぎます。次にもう一つのガラスコップに、備前焼のビールを写し変えて、両方のビールの味を比較してみて下さい。
A 備前焼コップにビールを注ぐと、きめの細かい、クリーム状の泡が多く発生し、その泡はなかなか消えません。コップの中心に箸を立てても、その箸は倒れません。ビールの泡はビールの風味、味を保持する大切な役をしています。
B 備前焼コップは、使えば使うほど、飲めば飲むほど、コップの内側共に色、艶の美しさが増すのが楽しみの一つです。
徳利
備前焼の徳利は「お酒の風味が変わらない」ということで、すり鉢等と共に、全国で愛用されてきました。特に桃山から江戸時代にかけて造られた徳利は、窯変のすばらしさもさることながら、変わった徳利が多く花生け等としても使われていたようです。
花入れ
備前焼の最も優れた機能性として、「水が長持ちする。」という特徴があります。備前焼の壺に水を入れ、中に備前焼のかけらを入れて、蓋をして保存しておけば、水は腐りにくく、冷たさも、保たれています。水が腐りにくいため、花がたいへん長持ちし、植木鉢の木も元気に長生きします。備前焼の表面には、かすかな浸透性があり、甕は呼吸をしつづけているため中身も生きつづけていることができ、外側は、気化熱の効果により気温が高くても、中は冷たさを保つことができるとかんがえられています

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